国内外の業者を問わず、FXトレードを行う際に気になるのが「スプレッド」です。
トレーダーにとって、スプレッドはトレードを行う際のコストとなるため、できるだけ狭いスプレッドで取引したいと考えるでしょう。
目次
スプレッドとは何か?
スプレッドは「買値と売値の差」のことです。ドル円の買値が110.658円、売値が110.656円とすると、スプレッドは0.2pipsと表現されます。
スプレッドでは、ほとんどの場合で買値の方が売値より高くなっています。これは、トレーダーがエントリーした瞬間に損失を抱えるということを意味します。スプレッドが存在しているのかというと、FX業者を運営する際の収入源となるからです。
FX業者の運営には人件費、サーバー関連費、広告費など、様々な費用がかかるため、運営費スプレッドから捻出されることになります。
国内FX業者と海外FX業者でスプレッドを比較
では、国内FX業者と海外FX業者のスプレッドには、どのような違いがあるのでしょうか?
海外FX業者はスプレッドが変動しやすい
海外FX業者における国内FX業者との大きな違いは、スプレッドが変動しやすいということです。
なぜ変動しやすいかというと、海外FX業者は注文をカバー先の銀行にダイレクトに繋げていることが挙げられます。カバー先の銀行とは、FX業者が契約している複数の銀行のことです。
カバー先の銀行と契約するメリットは、どんな注文であってもスムーズに対処できるということにあります。
市場が大きいため、さまざまな売り買いの注文を結びつけることが容易になるわけです。しかし、スプレッドの変動については、カバー先の銀行の水準に合わせる必要があり、自社で固定させることはできません。そのため、カバー先の事情に合わせてスプレッドを変更せざるを得ないという状況にあります。
このような方式を「NDD方式」といい、多くの海外FX業者で採用されています。
国内FX業者は固定スプレッド
一方で国内FX業者はOANDA(オアンダ・ジャパン)など、一部のFX業者でNDD方式が利用されていますが、ほとんどの会社で「DD方式」が採用されています。
DD方式では、注文をFX業者が引き受けます。DD方式は相対取引と呼ばれるように、トレーダーとFX業者が1対1でトレードを行うことになります。
このDD方式ではスプレッドの幅を自社で決定できるというメリットがあります。当然トレーダーにとっては、固定スプレッドの方が分かりやすく歓迎される傾向にあります。そのため、相場の急変時を除いては、同じスプレッドを表示しています。
ただし、固定スプレッドだから国内FX業者の方が良いとは限りません。「DD方式」の場合、約定拒否が起きやすい、スリッページが起きやすい、といったデメリットがあり、NDD方式もDD方式も良し悪しがあると見て良いでしょう。
海外FXと国内FXのスプレッド水準を比較
次に海外FX業者と国内FX業者のスプレッド水準を比較してきましょう。
国内FX業者の特徴は、全体的にスプレッドが狭いです。特に日本人の取引量が多いクロス円やユーロドルはスプレッドが狭く設定されている傾向にあります。
会社名 | 米ドル/円 | ユーロ/円 | ユーロ/米ドル |
---|---|---|---|
GMOクリック証券 | 0.2pips | 0.5 pips | 0.4 pips |
DMM.com証券 | 0.2 pips | 0.5 pips | 0.4 pips |
ヒロセ通商 | 0.2 pips | 0.5 pips | 0.4 pips |
マネーパートナーズ | 0.3 pips | 0.4 pips | 0.3 pips |
YJFX! | 0.2 pips | 0.5 pips | 0.4 pips |
一方で海外FX業者のスプレッドを見ると、国内FX業者と比較すると全体的なスプレッド水準は高めです。
しかし、一部の海外FX業者では国内と比べても遜色のないスプレッドが提示されています。また、海外FX業者のスプレッドは通貨ペアごとにスプレッド水準のバラつきが大きくなっています。
ユーロ円ではXMで2.6pips、Tradeview で0.6pips(2022年7月現在)とかなり差があることが分かりますがこれは取引に手数料がかかるためです。以下のようなケースがあるので、必ず取引手数料も含めて考えましょう。
- スプレッドが狭くても取引手数料が高い
- スプレッドは広いけど取引手数料は安い、あるいは無料
さらに、海外FX業者では口座タイプが複数あることが多く、同じFX業者であっても下記の表よりも狭いスプレッドでトレードを行うことが可能です。
会社名 | 米ドル/円 | ユーロ/円 | ユーロ/米ドル |
---|---|---|---|
GMOクリック証券 | 0.2pips | 0.5 pips | 0.4 pips |
DMM.com証券 | 0.2 pips | 0.5 pips | 0.4 pips |
ヒロセ通商 | 0.2 pips | 0.5 pips | 0.4 pips |
マネーパートナーズ | 0.3 pips | 0.4 pips | 0.3 pips |
YJFX! | 0.2 pips | 0.5 pips | 0.4 pips |
平均的に海外FX業者のスプレッドは高めです。しかし約定力など、その他のサービスを考えると、国内海外どちらがおススメというの人それぞれです。
スプレッドの狭い海外FX業者は?
短期トレードをメインで行う人はスプレッドの狭いFX業者を選ぼう
FX業者を選ぶ再には、スプレッドの狭さだけでなくサービス全般を考慮する必要があります。
そんな中で、スプレッドの狭さを重視たほうが良いトレーダーにはどんな特徴があるのでしょうか。
答えはスキャルピングやデイトレードなど、短期売買をメインで行うトレーダーです。
スプレッドは取引一度あたりのコストになるため、1日のうちに何度もトレードを繰り返すスキャルピングやデイトレードを行う投資家はスプレッドの狭さを重視してFX業者選びを行う必要があります。
では、実際に海外FXでスプレッドの狭い業者はどこなのか確かめてみましょう。
スプレッドの狭い海外FX業者1:Tradeview
Tradeviewはスプレッド面で非常に評判の高いFX業者です。中でも「cTrade口座」では0.0pipsという、スプレッド無しのトレードも可能です。
平均スプレッド | cTrader口座 |
---|---|
USD/JPY | 0.6pips(0.5) |
EUR/JPY | 0.8pips(0.5) |
EUR/USD | 0.5pips (0.5) |
()内は往復の取引手数料
約定力の高さにも定評があるので、スキャルピングを行っても注文通りに約定してくれるでしょう。
スプレッドの狭い海外FX業者2:Tickmill
2社目はTickmillです。特に「プロ口座」や「VIP口座」は業界でもトップクラスのスプレッドの狭さを実現しています。
平均スプレッド/口座 | クラシック | プロ口座 | VIP口座 |
---|---|---|---|
USD/JPY | 1.8pips | 0.2pips (0.4) | 0.2pips (0.2) |
EUR/JPY | 0.2pips | 0.7pips (0.4) | 0.7pips (0.2) |
EUR/USD | 0.2pips | 0.2pips (0.4) | 0.2pips (0.2) |
※()内は往復手数料
手数料を考えれば、プロ口座よりもVIP口座がお得と言えるでしょう。ただし、VIP口座は最低入金額が20万円と、トレードを始めるときのハードルは高いと言えます。
※2020年に日本から撤退している業者です。
スプレッドの狭い海外FX業者3:MiltonMarkets
スプレッドの狭いFX業者、3社目のおすすめはMilton Marketsです。プレミアム口座では、業界でも屈指のスプレッドの狭さを実現しています。
平均スプレッド/口座 | スマート | エリート | エリートプラス |
---|---|---|---|
USD/JPY | 0.8pips | 0.5pips | 0.2pips |
EUR/JPY | 0.8pips | 0.5pips | 0.2pips |
EUR/USD | 0.8pips | 0.5pips | 0.2pips |
スマート口座とエリート口座、エリートプラスの3種類の口座があります。
海外FXのスプレッドに関する注意点
ここまでスプレッドについて解説してきましたが、最後に気を付けるポイントを紹介しておきましょう。
FX業者が公表しているスプレッドはあてにならない
海外FXのスプレッドに関する注意点ですが、FX業者が公表しているスプレッドはあまり当てにならないということです。もちろん嘘を表記しているとか、さばを読んでいるとかそういうわけではありません。
問題なのは表記の仕方で、平均値を表しているFX業者、最小値を表しているFX業者、現在値を表しているFX業者など様々だからです。
特に平均値に関しては、集計期間を変化させるだけでかなりスプレッドに違いが出てしまいます。こうしたことは、スプレッドが変動する海外FXならではの問題と言えるでしょう。
FX業者が公表しているスプレッドは参考程度にしておき、ボーナスなどを利用して自分が体感する必要があると思います。