FXの法人化について、どれだけ知っていますか?
法人化をすると節税効果を得られる場合もあって、個人トレーダーでも、適切なタイミングで法人化を検討することも必要になることがあります。
今回は、FXの法人化とはどういうことなのか?またそれが何をもたらすのか?について詳しく見ていきます。
FXの法人化ってどういうこと?
FXの口座開設をするにあたって、「個人口座」と「法人口座」があるのはご存知でしょうか?
副業でFXをしている場合は、個人口座を利用してトレードするのが一般的な流れかと思います。
しかし一方の法人口座は、会社が法人としてFX取引を行うための口座であって、名義は法人名義となります。
実はこの法人口座ですが、個人口座とは違うメリットがあります。
詳しく見ていきましょう。
法人化によるメリットとは?
国内FXの場合、最大レバレッジが最大25倍以上になる
国内FXは個人で行う場合、最大レバレッジが25倍に規制されていることはご存知だと思います。海外FXを使うことでレバレッジ規制のないトレードを行うことができますが、法人口座を開設して取引することによって、国内FXでも25倍以上のレバレッジをかけることが可能なのです。
法人取引での最大レバレッジは変動制と呼ばれる仕組みで決まります。これは、通貨ペアごとにレバレッジが決められるものですが、毎週金曜日に、国内のFX業者によって値動きをもとにした計算が行われ、これによって算出されたレバレッジが、翌週適用される仕組みとなっています。
損失を繰り越せるようになる
法人化のメリットには、損失を繰り越せるといったものがあります。
個人トレードの場合でも、確定申告で繰越しが可能ですが、これは最大3年までしか適用されません。
しかし、法人の場合は最大10年まで損失繰り越しをすることができます。
この最大のメリットは、実際に出た利益にかかる税金を減らすことができるという点にあります。
たとえば、
2年目…損失40万円の繰越。FXでの利益が80万円出た
この場合、2年目の税金は1年目の赤字との差額の40万円分にのみかかってくることになり、結果として節税になります。
損益通算ができる
個人でFXトレードを行うと、FXによる所得は雑所得として扱われます。もし他の事業所得を得ていると、FXによる収入と一緒に計算することができません。一方で、法人の場合、FXによる所得が事業所得として計算されるので、他の事業所得と一緒に計算することができます。これを損益通算と言います。
事業に関係する支出は経費として扱える
FXのトレードでかかった支出分を経費として計上できるということは、その分節税になるということです。
たとえば、自宅でFXトレードを行う場合、FXをしている間に発生する光熱費、面積による家賃の按分、トレードに使用するツールの購入費用、インターネット料金、関係書籍など、さまざまなものの支出を経費として計上することができます。
課税対象となるのは、利益から経費を引いた分の所得に対してのみとなるため、必要経費が多ければ多いほど、節税になるというわけです。
スワップポイントにかかる税金を減らすことができる
FXによるトレード以外にも、FXでは利益を稼ぐ方法があります。それがスワップポイントです。
スワップポイントはポジションを持っていれば発生するもので、その利益をトレードの足しにしている人も多いでしょう。しかし、この利益にも当然税金がかかってきます。
法人でのFXトレードでは、含み損とこのスワップポイントによる利益の申告を合わせて申告することができます。つまり、含み損が50万円あって、スワップポイントが50万円プラスの場合、このポジションを決済せずに税務署に申告することができ、スワップポイント50万円にかかる税金を含み損によって相殺することができます。
会社経営者という地位を確立できる
FX専業トレーダーの場合、個人の立場でFXトレードを行っていると、社会的地位も低く見られ、クレジットカードが作れなかったりする、賃貸契約がしにくいなど、不便なことが往々にしてあります。
しかし法人化すると、会社経営者になるので、金融機関からの信用度は個人よりも数倍高いものになります。
ここまでの情報だけを見ると、専業トレーダーにとっては個人よりも法人化した方がお得なのでは?と思うのではないでしょうか。
しかし法人化にはデメリットもありますので、ここからはそちらについてもしっかり触れておこうと思います。
法人化によるデメリットとは?
法人化によるデメリットには以下のようなものがあります。
設立にお金がかかる
FXトレードをより効率的に行うために法人化するとして、会社を作るにはお金がかかります。
会社の形態ですが、基本的に株式会社と合同会社という2種類から選択することになりますが、それぞれの初期費用を見てみましょう。
合同会社…約6万円
株式会社設立は合同会社設立に比べて金額が高いものの、合同会社に比べて信用度は格段高いものとなります。
会社の維持費がかかる
会社設立後、自分で会計業務などができればいいのですが、通常法人の会計処理や手続きなどは難しく、会計事務所などに委託するケースがほとんどです。このため、会社を維持するために必要な資金が意外とかかります。月次契約するケースと、決算時にのみ依頼するケースがありますが、FXトレードだけを行うために法人化するのであれば、決算時のみ会計事務所に決算申告書を作成する依頼をするだけで十分です。月次契約は月数万円を払い続ける上、決算申告書作成や年末調整に別途費用がかかりますので、注意しましょう。
FXで稼いだ利益を自由に使うことができない
自分が会社オーナーや社長であっても、利益が自分のために自由に使えるわけではありません。あくまで会社のお金として、役員報酬として分配したお金のみ、自由に使えます。しかし、逆に考えると仕事に関わる部分で利用するものとしては、自由に使えるわけですから、社用車として車を購入する、社宅として家を購入し借りる形をとるなど、節税を念頭に置いたお金の使い方は有効です。
会社の解体は大変
ある程度やってみてうまくいかなかった時、会社を解体しようとしても様々な事務処理や委託費用がかかってきます。作ったはいいものの潰すのはタダという訳にはいかない点も覚えておきましょう。
利益が確定していなくても税金が発生する
個人の場合は、決済された利益に対して課税されますが、法人の場合は含み益にも税金がかかってきます。
ポジションを保有しているだけで税金がかかる、と思っておきましょう。
税務調査が入る可能性がある
法人の場合、定期的あるいは突発的に税務調査が入る可能性があります。この時、納税の履歴や帳簿などについてきっちり調査され、新たに税金を支払う可能性も出てきます。基準が明確ではないため、いつ税務調査が入るか、どれくらいの売上があれば税務調査対象になるかはわかりませんが、いつ来ても大丈夫なようにしておく必要があります。
このように、費用と労力がかかるという点においてのデメリットはさまざまです。ただし、法人口座を開設しても個人口座も使用することは可能です。法人口座と個人口座をそれぞれうまく使い分けることによって、より利益を生み出しているトレーダーもいるようでう。
海外FXで法人口座は簡単に作れる!
海外FXにおいて、法人口座は必要書類さえ準備すれば簡単に口座開設することができます。
その際には
- 会社の登記簿謄本
- 代表者の身分証明書類
- 身分証明書と自分が一緒に写っている写真
法人口座開設できるFX業者であれば、大体これらの書類があれば、法人口座を作ることが可能です。
登記簿謄本を準備するのは多少労力がかかりますが、オンラインでも請求できるのでそこまで大変ではありません。特に、海外FXの場合は国内FXの課税のしくみと違い、累進課税制度を採用していますので、法人化を利用して賢く収益をあげたいところです。
累進課税の場合、稼げば稼ぐほど税金が増えていくしくみとなっているため、経費計算や赤字の繰越などをうまく使い利益を出していくのが得策と言えます。
FXで安定した利益が出せるようになったら、法人化を考えてみるのも一つの手ではないでしょうか。