FXの経費に計上できるものは?ポイントや注意点について

FXトレードでは、節税のためにいかに経費計上できるかがとても大切になります。

本来、経費計上できるのに、それを行わなければ、余計に税金を納めなければならなくなるからです。

せっかく稼いだ利益をしっかり手元に残すために、経費計上をしっかりと行い、税務申告するようにしましょう。

税金対策には経費の計上が必須条件

税金対策を行うためには適切に経費を計上する必要があります。

経費の定義とは?

まず、経費の定義を確認しておきましょう。税法で経費は次のように定義されています。

「収益を得るために直接使った費用」

FXトレードの収益は売買差益がメインとなります。売買差益を得るために費用をかけて、それが直接的に収益につながったのであれば、それをFXトレードの経費と判断してよいのです。

FXの経費に計上できるものは?

経費に計上できるものは以下のようなものがあります。

  • FX関連のセミナー参加費
  • セミナー参加するための交通費、宿泊費、食費
  • FXや投資関連の書籍、雑誌、配信サービス、ネット書籍などの購入代金
  • 入出金やトレードにかかる手数料
  • ネット接続費用、光熱費、PC購入費

などが、FXトレードの経費として取り扱いできるものです。

確定申告の際には、これらを経費として計算することができます。

ただしPC購入費など、プライベートと兼用となるような費用は按分する必要があります。たとえば、プライベートでの使用が5割、FXでの使用が5割の場合は、FXトレードで経費計上できる部分が購入費の5割に限ります。

経費として必ず認められるとは限らない

自分が経費と思って計上したものの、それがすべて認められるとは限りません。

経費が認められるか認められないかが問題になるのは税務調査の時です。税務調査で、訪問した税務官を納得させることができれば経費として認められますが、すべてのケースで納得させられるわけではありません。

また、税法ではきちんとした経費の定義があるものの、調査に来た税務官によって解釈が微妙に異なる場合があります。ある税務官は経費と認めても、別の税務官は経費と認めてくれないことがあります。

税務調査が来る確率というのは個人トレーダーの場合は非常に低いですが、経費に計上するかどうか迷う項目がある場合、第三者に説明して納得してもらえるかということを判断基準とするとよいでしょう。

領収書の保管が義務

経費として計上する場合は、その根拠となる資料を保管しておく義務があります。

書籍を購入したのであればレシートや領収書を、セミナーへの参加費用であれば案内メールを保管しておくとよいでしょう。

また、鉄道の切符の購入費などで領収書がない場合、エクセルや出金伝票などにメモをしておく必要があります。

日付や支出内容を記入するのはもちろんですが、どのような目的でどのように利益につながっていくのかしっかりと記入しておく必要があります。

経費内容の重要ポイント

経費に計上できる項目は、それほど細かい規定があるわけではありません。かなり大雑把なものです。

大雑把だからこそ経費にできるかどうか微妙なケースが生じてしまうことも事実です。できることなら、なるべく多くの金額を経費に計上したいものです。

次に経費になる項目ごとに重要ポイントをチェックしていきます。

パソコン(10万円以上のものは経費として一括で計上することはできない)

パソコンは10万円以上するものも多く、経費として計上する項目の中では非常に高価なものです。

そのため、今年度の利益を小さくしたいという節税目的で、年末にパソコンを購入する方もいるでしょう。

パソコンの経費については、10万円以上の場合、減価償却の対象となり一括で経費にすることはできません。

パソコンの経費は購入価格に応じて選べる処理方法が変わってきます。

購入価格経費処理一括償却(少額減価償却)固定資産
10万円未満
10万円~20万円×
20万円~30万円××
30万円以上
×××

※少額減価償却は法人に限る

購入金額が10万円未満の場合がもっとも選択肢が多く、購入金額が大きいほど選択肢が狭まっていきます。

また先述のように、パソコンをプライベートでも使用する場合、その分按分する必要があります。按分の仕方は、使用時間の割合など、根拠を持って決定しましょう。

自動売買ツール(EA)の購入費

自動売買ツール(EA)の購入費ですが、こちらは文句なく経費計上できます。

なぜなら、EAのソフトはFX以外で使用する機会がなく、FXで利益を上げるためだけに購入したことが明確だからです。

取引手数料

国内FX業者ではかかりませんが、海外FX会社を利用する場合は取引手数料がかかる場合があります。

ただし、FXツール上で取引にかかるコストすべてが経費にできるわけではありません。取引にかかるコストは以下のように表現できますが、経費にできるのは取引手数料のみです。スプレッドは経費計上できません。

取引コスト=スプレッド+取引手数料

家賃や電気代などの光熱費

家賃や電気代などの光熱費については、FX以外の目的でも発生するため、全額経費にすることは難しいです。

ただし、使用時間や床面積を根拠に、その物件についてどのくらいの割合をFXトレードのために使用しているのかを計算すれば、按分という形で経費にできます。

売買の損失

日々の売買で発生した損失は、FXで利益を出すための費用とは言えません。

もちろん、利益と相殺することは可能なため、経費と同様に年間所得を小さくできます。

また、年間損失が年間利益を上回れば損失分を繰り越すことができ、次年度以降の3年間、年間の利益と相殺することが可能です。

次年度以降の節税のために、年間で損失が利益を上回った場合もきちんと確定申告を行うようにしましょう。

海外FX業者で経費を計上するときのポイント

近年、レバレッジの高さや優れた約定力から、海外FX業者を使うトレーダーが増えています。

ここからは、海外FX業者で経費を計上するときのポイントを紹介していきます。

経費計上できるものは国内FXと基本的に同じ

経費に計上できる内容は、海外FXであっても国内FXと基本的には同じです。

唯一違いがあるとすれば、海外への渡航費用が経費にできる可能性があるという点です。

FX業者の所在する国を訪れ、担当者や関係者と打ち合わせまですれば、経費として計上できる可能性は高まるでしょう。

国内の税法が適用

海外FX業者を利用しても、トレードを行っているのが国内であれば、国内の税法が適用されます。

総合課税が適用

国内FXでは一律20.315%の分離課税が適用されますが、海外FXでは累進課税が適用されます。

どちらの税金が高いかは所得次第です。おおよそ400万円~500万円が分かれ目となり、それより少なければ国内FXの納税額が、それより多ければ海外FXの納税額が高くなります。

まとめ

FXの経費については、解釈の仕方で経費の幅をある程度広げることができます。税理士や税務官などのプロの間でも解釈が分かれる微妙な場合も多いものです。

確定申告自体はスムーズに行えますが油断は禁物です。将来的にあるかも知れない税務調査を見据えて、経費であることをしっかりと説明するための準備をしておきましょう。

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