FXの両建てはトレードの幅を広げる手法として、多くのトレーダーが使用しています。
両建て取引で重要となるのが、片方のポジションを外すタイミングです。
目次
両建てのやり方は?
まずは両建てのやり方を考えてみましょう。
両建てと言っても色んな手法があり、戦略としては以下の方法が有効になります。なるべく計画的に両建てを行うようにしましょう。
1.スワップポイントの差を利用して利益を上げる
スワップポイントとは、通貨の金利差から得られる利益のことです。金利の低い通貨を売り建てて、金利の高い通貨を買い建てでポジションを保有していれば、毎日収益を得ることができます。
この手法で定期収入を得ることはできますが、スワップポイントには為替変動リスクがついて回るというデメリットがあります。そこで両建て取引を行うことによって、このリスクを無くすことができるのです。
スワップポイントは、同じ通貨ペアでもプラスポイントがマイナスポイントよりも大きいことがあるので、両建てを行っても完全に相殺されずに済む場合があります。さらに海外FXでは、買いポジション売りポジションともにプラスポイントという場合もあります。
2.相場で両方向の値動から利益を得る
両建てを行えば、買い方向からでも売り方向からでも利益を得ることができます。どちらの方向からも利益が得られるということで、レンジ相場両方の値動きを取る方法がまず頭に思い浮かぶのではないでしょうか。
両方で利益を得られるのはトレンド相場でも同じです。上昇トレンドの最中であっても、短期的に下落するポイントが発生したり、下降トレンドの最中であっても、短期的に上昇するポイントが発生したりします。
基本的にはトレンド方向のポジションを保有し続けて、調整時にトレンドと反対方向のポジションでエントリーを行えば、より大きな利益を生み出すことが可能です。
3.利益や損失を固定して様子を見る
両建ては一度様子を見たいときに有効になります。片方のポジションで含み益や含み損が出ているとき、相場を一度様子見するために反対方向のポジションを保有します。
そうすることで利益や損失を固定することができ、一度タイミングを置くことができます。またこれら3つの手法を合わせることもでき、色んな手法にアレンジすることも可能です。
両建ての外し方は?
両建て取引で大切なのは外し方です。両建ての外し方にはどんなものがあるのか、思いつくだけ取り上げてみようと思います。
1.両方のポジションを同時に決済してしまう
両方決済してしまえばポジションは無くなります。両建てによって固定されていた含み益、あるいは含み損はゼロになります。
もし両方のポジションを決済するのであれば、両建てを行った時点で利益確定や損失確定の決済を行ったのと同じ意味を持つことになります。
2.トレンド方向のポジションは持ち続け、トレンドと反対方向のポジションを決済する
これはトレンド相場で有効になる両建ての外し方です。ファンダメンタル分析やテクニカル分析から、トレンドがさらに続くという判断ができれば、トレンドに向かってエントリーを行ったポジションを持ち続けます。
トレンドとは反対方向のポジションの利益はこれ以上伸びませんが、相場の判断ができていれば、トレンド方向にエントリーしたポジションの含み益を伸ばすことができるでしょう。
分かりやすくするために、実際のトレード例を使ってみましょう。
- 1ドル110円で買いのエントリーを行う
- 1ドル111円になり、そろそろ調整が入ると予想して売りのエントリーを行う(両建て開始)
- 予想通り調整が入り、1ドル110.8円まで下落
- 1ドル111円でエントリーした売りポジションを決済(両建てを外す)
- その後、再び上昇すれば、買いポジションの含み益は増大
重要なポイントは、トレンドの強さを見極めることができるかどうかです。両建てを外した直後にトレンドが転換してしまえば、その後の利益は小さくなってしまいます。
また、場合によっては損失を出すことになりかねないので、相場を判断する力がとても重要になります。
3.トレンドと反対方向にエントリーしたポジションは持ち続け、トレンド方向のポジションは決済する
トレンドの転換時に有効な両建ての外し方です。トレンド方向のポジションで含み益が出ていたとしても、もうすぐトレンドが転換しそうな時に利益を確定させてしまいましょう。
その後、トレンドが転換すれば、もう片方のポジションで発生している含み損は徐々に減少していくはずです。
トレードの例を見ていきましょう。
- 1ドル110円で買いのエントリーを行う
- 1ドル111円で、調整が入ると予想して売りのエントリーを行う(両建て開始)
- 予想通りに調整が入り、1ドル110.8円に下落
- テクニカル分析やファンダメンタルズ分析から、トレンドが転換すると予想
- トレンド方向のポジションを決済する(両建てを外す)
- 予想通りトレンドが転換すれば、売りポジションの含み益が伸びていく
注意点は、2.と同様です。しっかりとトレンドの流れを読む力が求められていると言えるでしょう。
4.節税するために片方のポジションを損失確定させる
FXで税金が発生するのは、当該年度に利益と損失を確定させた分に限ります。仮に1年間トータルで利益が出ている場合は、年末に片方のポジションを損切りすることで、その年の利益を小さくすることができます。
利益が出ているポジションについては、年が明けてすぐに決済すれば、翌年の利益となります。
次の例を考えてみましょう。
- 会社員のかたわら副業でFXを行っており、2019年12月の時点で年間20万円の利益が確定している。このままだと翌年確定申告しなければならない。
- さらに12月上旬にエントリーした買いポジションが5万円の含み益が出ている。
- これまで流れに乗って取引できたトレンドが収束し、レンジ相場になった。
- そろそろ利益を固定したいと考え、買いポジションと同じロット数で、売りのエントリーを行った。
- 12月末、買いポジションの利益は6万円になり、売りポジションの損失は1万円となった。
- 2019年最終日に売りポジションの損失1万円を確定。2019年の年間利益は19万円となり、翌年の確定申告を逃れることができた。
- 2020年の相場初日に買いポジションの利益6万円を確定。
注意点は、損切りを行うタイミングと利益を確定させるタイミングが離れてしまうと、相場変動のリスクが生じてしまうことです。そのため、なるべく年末ギリギリに損切りを行い、年明けすぐに利益確定を行うようにしましょう。
また、節税のために両建て外しを行うのは、確定申告を行う必要があるのかないのかギリギリの場合、累進課税が適用される海外FXであれば税率が上がるかギリギリの場合でないと意味がありません。
まとめと注意点
今回は両建ての外し方について解説を行いました。
大切なのは、トレンドの強弱や方向など状況を見極めることです。両建てを行ったからと言って、FXで大切なことに特別変化があるわけではありません。FXの基本を忠実に実行することが大切と言えるでしょう。
ただし、両方のポジションを持つということで、両建てを外すときにややこしさを感じてしまう人は多いようです。メモをしたり、頻繁にポジションをチェックしたりして、頭の中で保有ポジションを整理しておく必要があります。
また両建てを行うと、スプレッド負担が2倍になってしまうデメリットがあります。無駄な両建ては取引コストを増加させてしまうだけなので避けなくてはいけません。
両建てしなくても損切りや利益確定の決済で対処できる場合は、そちらの方が負担を少なくできることも頭に入れておきましょう。
さいごに
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