FXトレードが順調な時期もあれば、思うような結果が出ないこともあり、時として思いがけない損失を出してしまうことがあります。
しかしFX業者側も「強制ロスカット」という仕組みを導入し、トレーダーの資金を確保するようにしています。
強制ロスカットの計算方法は決まっているので、どれくらいで起きるのかを自分で予測することも可能です。
今回はそうした強制ロスカットの計算方法についてみていきましょう。
FXトレードで発生する強制ロスカットとは?
強制ロスカットとは、「多額の含み損を抱えているなど大きな損失を抱えることになった場合、保有している通貨などを強制的に約定させる」ことを言います。FXトレードでは常に為替変動が起きますが、トレーダーにも日々の生活があることから、一日中FXトレードを行っている訳にはいきません。
ロスカットはFX業者側が強制的に行うため、トレーダーが目の前にいる/いない関係なく、強制的に取引が終了させられます。
ここまで聞くと「損切り」と似ていると思った方もいるでしょう。
ロスカットは英語で書くと「loss cut」であり、「損失(loss)を切る(cut)」という意味のため、意味合いとしてはほぼ同じになります。あえて違う面を挙げるとすれば、損切りはトレーダーの意思で行うのに対して、ロスカットはトレーダーの意思に関係なく強制的に行われるぐらいです。
強制ロスカットはトレーダーを守るための仕組みであり、FX業者側には特にデメリットがないことから、多くのFX業者で採用されている制度です。
FXの強制ロスカット計算方法
次にFXにおける強制ロスカット計算方法を見ていきましょう。
計算方法はいろいろありますが
「最低証拠金×ロスカット率 < 口座残残高」
という式を利用するのが最も簡単です。
まずは計算に使用している各項目の意味を見ていきます。
「最低証拠金」は、通貨を保有するために最低限用意しなければいけないお金のことです。たとえば、米ドル円が100円で、10万通貨保有する場合、証拠金を4万円用意しなければいけなければ4万円が最低証拠金となります。
ロスカット率は単純にロスカットが発生する割合で、FX業者によって0%~100%の範囲で設定されていますので、公式ホームページなどから各社のロスカット水準を確認してみましょう。
「口座残高」は、口座に残っているお金を表します。取引で発生している含み益と含み損を加える必要がありますので、忘れずに加えましょう。
では、実際に強制ロスカットが起きる条件を計算してみましょう。
今回は100円の米ドル/円を20万通貨保有し、ロスカット率は50%、最低証拠金は8万円、口座残高は50万円とします。
最初に行うのは「強制ロスカットが発生する口座残高の計算」です。
「最低証拠金×ロスカット率」という式に値を当てはめると「8万円×50%=4万円」となるため、口座残高が4万円未満になると強制ロスカットが発生するようになります。現在の口座残高は50万円であるため、「50万円-4万円=46万円」となることから、46万円以上の損失ないし含み損を抱えると強制ロスカットが発動します。
FX強制ロスカットがないとどうなる?
「強制ロスカットがあるせいで、トレードしたいのにできない」と思うことがありませんか?
確かに、強制ロスカットがあるとトレードしたいのにできないなど、もどかしい状態になることもあるでしょう。
ではロスカ件ットがないとどういったことが起きるのでしょうか。
強制ロスカットがないことで発生するリスクは「借金を抱える」ことです。
そもそも強制ロスカットは含み益が出ている段階で発生することはありません。一定以上の含み損が出ることによって発生するものです。そのため、強制ロスカットが発生するとズルズルと含み益が拡大することとなり、手持ち資金はみるみる減っていきます。
含み損が増えることで懸念すべきことに「レバレッジ」があります。
レバレッジによって増やしたお金はいわゆる「FX会社から借りたお金」です。借りたお金は必ず返す必要がありますが、もしも含み損などで資金をなくしてしまったら、失った分をトレーダー自身が払わなければなりません。つまりFX会社に対し借金をしたのと同様になるのです。
強制ロスカットはそうした借金が発生する前に取引を終了させることで、トレーダーに借金を抱えさせないようにしているものです。「強制ロスカットは煩わしい」と思うかもしれませんが、万が一のときは保険となるような仕組みですので、「強制ロスカットを引き起こさせない」ことを目指すようにしましょう。
強制ロスカットを起こさせないために必要なこと
強制ロスカットはできれば起きたくない事象ですが、どのようにしたら防げるでしょうか。
最もおすすめなのは「含み損があるポジションを、強制ロスカット前に約定してしまう」ことです。
強制ロスカットは含み損が一定以上になったときに発動するものです。含み損はポジションを維持している限りは発生し続けますが、あくまでも保有しているポジションに潜んでいるものであるため、ポジションを決済すれば含み損は「損失」になって消失するようになります。
損失が発生するとFX口座にある資金が減少したり敗北という結果が残ってしまったりしますが、取引が終了した状態になるため、これ以上お金を失う心配はありません。
2つ目の対処法は「状況がよくなるまで待つ」という方法です。
基本的に強制ロスカットは含み損の大きさをトリガーに発動します。そのため、含み損が少なくなったり、なくなったりしてしまえば、強制ロスカットが発生することはありません。
ただし含み損は取引市場で提示された価値によって発生するため、トレーダー側では操作できないものです。含み損を解消するには状況がよくなるまで待つしかありません。
この対処法のよいところは「ノーリスク」である点です。状況がよくなるまで待つだけなので、ただ状況を眺めていればよいことになります。ただし「相場を操作できない」のです。。相場は多くの人の意思や経済状況などを背景にして決まるため、誰かが操作できるようにはなっていません。そのため相場が上がればよいのですが、当然下がる可能性もあります。
もしも相場が下がってしまうと、含み損がさらに増えてしまい、強制ロスカットが発生するリスクを増やすことになりので、気をつけてましょう。
まとめ
強制ロスカットの計算方法は、口座残高や有効証拠金などが必要になるなど、複雑に感じるかもしれません。
しかしFX業者が定義しているロスカット水準や取引で必要な最低証拠金がわかれば求められるので結構簡単です。
強制ロスカットは条件さえ揃えば必ず行われるもので、トレーダーの意思に関係なく実行されます。
強制ロスカットを回避するには、自分から損切りするか、好転することを願って待つぐらいしかできないので、十分気をつけましょう。