今回は「FXにおけるマーチンゲール法」について解説していきます。
カジノやギャンブルに興味がある人であれば既にご存じかもしれませんが、FXトレードにおいては有効な手法なのでしょうか?
目次
マーチンゲール法とは何か?FXにおける主なメリットは?
マーチンゲール法の主なメリットは2つあります。
- 「考える部分」が少なくなる
- 理論上負けない
1.考える部分が少なくなる
マーチンゲール法は以下のように進めていきます。
ステップ2:負けたら20円投資する
ステップ3:負けたら「前の金額の2倍」を投資する
ステップ4:買ったら投資金額を10円に戻す
簡単に考えるために、「勝ったら倍の金額が返ってくる」とします。
この際、「10円で勝てば、20円戻ってくる」ため10円のプラス、
「10円+20円(=30円)で勝てば、40円戻ってくる」ため10円のプラス、
「10円+20円+40円(=70円)」で勝てば、80円戻ってくる」ため10円のプラス……
「勝った時点で、投資金額と同額の利益が出る」ことになります。
マーチンゲール法の進行手順は非常に単純です。
つまり、「考える部分が少なくなる」ため、FX初心者の方にも人気のようです。
2.理論上負けない
先述の「勝った時点で、投資金額分稼げる」という法則は、そこまでで何連敗していようが変わりません。
100連敗しようが200連敗しようが、いつか必ず取り戻せます。
FXにおけるマーチンゲール法のデメリット
投資やギャンブルに慣れていない人からすると、「マーチンゲール法はFXの必勝法なのでは?」と感じるかもしれません。
しかし、致命的なデメリットがありますので見ていきましょう。
- 膨大な資金が必要
- いつか破滅する日が来る
- 時間効率が悪すぎる
1.膨大な資金が必要
FXの1回のトレードの勝率は2分の1ではありません。
しかし、FXトレード初心者のうちはそれに似た感覚になりやすいため、勝率は2分の1とします。
たとえば、最初の投資金額を1万円とします。
連続で負けた場合、5回目の投資金額は32万円、10回目の投資金額は1,024万円、15回目の投資金額は3億2768万円となり、かなりの資金が必要となります。
しかも、これはあくまで「その時点のみの投資金額」であり、例えば「15回目で勝つ」としても、「1~14回目の投資金額」も計算に入れなければなりません。
2.いつか破滅する日が来る
もちろん、10回や15回連続で負けるという事はそうそうありません。
ですが、FXを長期的に続けていくとなると、「いつか大連敗する日が必ず来る」と言っても過言ではありません。
それまでにいくら稼いでいたとしても、全てがパーになる可能性もあるわけです。
参考までに「1日3回トレードする」となれば、10年で1万回ほどトレードする計算になります。かなりの回数だと思いませんか?
3.時間効率が悪すぎる
「それでもほぼ勝てる」のがマーチンゲール法のタチの悪いところです。
たとえば、「勝率2分の1で10連敗する確率」は約0.1%でしかありません。
だからこそ、ビギナーを強力に惹きつけるのでしょう。
しかし、問題なのは「時間効率が悪すぎる」という部分です。結局、何連敗してから勝とうが、「元の投資金額分」しか利益が出ないわけです。
FXトレードで安定して利益を出せるようになれば、年収数千万~数億円になるのも夢ではありません。しかし、マーチンゲール法にこだわっていると、「アルバイトのほうがマシ」という状態になってもおかしくないのです。
よく似たパーレー法(逆マーチンゲール法)はFXで役立つのか?
続いて、パーレー法という手法について紹介していきます。
「マーチンゲール法の逆」というべき手法ですので、「逆マーチンゲール法」と呼ばれることが多いです。
パーレー法では、
まず10円投資する、勝ったら20円投資する、勝ったら40円投資する、勝ったら「前の投資金額の2倍」投資する…負けたら「最初の投資金額」を投資する
といった具合に進めていきます。
理論上、5連勝で「最初の投資金額の33倍」、10連勝で「最初の投資金額の1,023倍」の利益が出ます。
マーチンゲール法に比べると魅力があるかもしれませんが、この手法も、「負けた時点で、利益は『最初の投資金額分』に戻る」という致命的な弱点があります。
やはり「時間効率が悪すぎる」と言えますので、あまり現実的ではありません。
「マーチンゲール法NG」のカジノはない
「それでも、マーチンゲール法をやってみたい!」という方に向けて、もっと分かりやすく、マーチンゲール法を諦めたくなる事実を紹介しましょう。
それは、
マーチンゲール法を禁止しているカジノはほぼ存在しない
という事です。
なぜ禁止しないのか?
理由は単純で「マーチンゲール法に頼る人が多いほうが、カジノ側が儲かるから」です。もっと言えば「マーチンゲール法に頼るような「数字に弱い人」からは、どんどん絞り取ることができるから」という事になるでしょう。
もちろんマーチンゲール法を禁じているFX業者も存在しません。
補足:FXにおけるマーチンゲール法の悪用事例
FXトレーダーの中には「ある法則に従ってトレードし、運よく大金持ちになれた」という人がいないわけではありません。本人は「運がいいだけ」と自覚しているかもしれませんし、「本当に必勝法だ」と思い込んでいるかもしれません。
そうやってFXで成功した方の中には「誰でも再現可能!FX必勝法!」などといった情報商材を売る人が少なくありません。
釣られて買ってしまう方もいるようですが、「いざダウンロードしてみたら、マーチンゲール法の紹介をしているだけ。あとは自分がいかにスゴイかの自慢話」というものも多いのです。
基本的に情報商材は「売ったら勝ち」ですので、引っ掛からないようにしましょう。
マーチンゲール法がFXに全く役立たないわけではない
マーチンゲール法を、悪く言ってきましたが、マーチンゲール法も全く役に立たないわけではありません。
なぜなら、「他の手法と組み合わせれば、ある程度有効になる」場合があるからです。
たとえば「ナンピン両建てマーチンゲール法」というFX手法も存在します(この手法にもデメリットはあります)。
ですから、マーチンゲール法(逆マーチンゲール法)の意味・やり方だけは把握しておきましょう。
まとめ:FXにおいてマーチンゲール法はほぼ役に立たない
今回はFXにおけるマーチンゲール法について見てきました。
まとめると、
- あまり考えなくていい(シンプル)
- だいたいは勝てる
- しかし、勝てるとしても効率が悪すぎる
- いつか大敗する日がくる
という事になります。
特にFX初心者の方にとってマーチンゲール法は魅力的に感じるかもしれません。ですが、ある意味「一見良さそう」ということ自体が罠です。ですから、マーチンゲール法を単独で実行するのは絶対にやめましょう。
ただし「マーチンゲール法と他の手法を組み合わせたFXトレード手法」は存在しますので、マーチンゲール法に関する基本知識だけは持っておくべきです。